夏への扉

 山下達郎や、有名なSF小説のタイトルのようですが、今日は暑かったので、それと夜の蛙達の、数が多いのでユニゾンになっている鳴き声や、もう鳴いている深山のクマゼミの揺るがない低音のことを想って、こんなタイトルになりました。

ヴェスパタイン

ヴェスパタイン

 とってもアンビエントなアルバムです。ティーンエージャーの頃、いつも頭の中で、持っているレコードを自分で再生して鳴っていたのですが、それも孤独な行為に思えて、帰宅途中にイヤでも田舎の山の稜線が見えるのですが、そこに、「巨大なスピーカーを置いて、こんな寂しい町にロックを巨大な音で鳴り響かせたら、良いだろうな。そしたら、こんなつまらない町も愉快になるのに」と思っていました。いろんな音楽を聴き始めた15年以上前なら、純然たる環境音楽アンビエントミュージック)をかけたいと思ったかも知れません。15年くらい前の頃、ブライアン・イーノが渋谷の西武デパートのwaveで展覧会をしていました。確か入場料が1000円くらいしたので躊躇しましたが、「アンビエントなのに展覧会?」と思って入ったのですが、暗い場所に、障子で張ったような縦長の四角い照明が置いてあったり、簡易なベンチが置いてあり、それらから音楽が小さな音で、(注意しないと聴こえない)聴こえてきます。それが、DATで録ったヒグラシの音であったり、環境音楽だったり、ハロルド・バッドのピアノの音だったりしました。(テープループがあったかどうかは覚えていません)残念な事に、初日か終日だったので、かなり混んでいて、そんな、アンビエントなイベントだったのに、なかなか聴けないでいらいらした覚えがあります。そのちょうど1年あとでしたが、世田谷のぼろ市通りで、初夏に、お寺で夕涼み会というのをやっていて、友人か女の子か忘れましたが一緒に行ったのですが、可哀相に蛍が2m四方くらいの中で、数百匹くらい閉じ込められていて、急にそのブライアン・イーノの展覧会のことを思い出し、都会の中の詰め込まれた無理矢理な自然、本当の自然を録音したものを音楽にした、都会の中で聴く自然、どちらもリアルで無いのに、その場で、対比するとそのコントラストに、「はっと」して、かなり暑かったのですが、疑似体験をするということに、なんだかよくわからない、寒さに襲われた記憶があります。
 そういう意味で、僕は、究極のアンビエントミュージックとは、その良し悪しは関係なく「不可能なもの」ではないかと、思っています。
 ですが、今日のビョークちゃんは、いまではすっかり田舎者の田舎生活のこの環境では、ワインでいう所のマリアージュしていて、蛙の声も、深山のクマゼミ達も溶けあうのです。
今は、こんな、夜に山に30mくらいのスピーカーを置いてこのアルバムを聴かせてみたい。と思います。
 実は、こんなに洋楽を聴きますが。僕は日本人の女の人が好きで、パツキンさんとか海外の女の方は苦手ですが、ビョークちゃんは、女の子としても、魅力ある人だなといつも思っていました。もしかしたらタイプかもしれません。