真夜中に駆ける ソニック・ユース ニューヨークロック2

真夜中に駆ける ソニック・ユース ニューヨークロック2

Daydream Nation

眠れない夜には、ソニック・ユースを聞く事が、年に数回はあります。今日もそんな日になりそうです。
昨日の、ブルース・スプリングスティーンと同じで、信頼できるアーティストとして長年聴いてきましたが、実はリアルタイムで共有し、現在も常に聴いているというアーティストは彼らしかいません。
アイロニー(反語)として言うのでなくて彼らは世界最高のギターバンドです。数年前、福岡で彼らのライブを見た時に、あまりのアンサンブルの素晴らしさに、興奮したことを思い出します。サーストン・ムーアが「僕たちがもう少し、演奏が巧かったら、グレイトフル・デッドのようなバンドにしただろう」と語っていたような記憶がありますが、個々の演奏はともかく、バンドとしての完成度はもしかしたら上かもしれません。
「ノイズこそ音楽」という本当の意味での反語を信じて聴いていたこともありましたが、彼らの音はオルタナティブを志向していたというより、ギターでどれだけのことが出来るのかという挑戦をしてきた数少ないバンドだと言えます。最新作"SONIC NURSE""DAYDREAM NATION"の類似性は、そこからくるのではないでしょうか、あくまで方向性は変わらず深化するギターサウンドがそこにはあります。だから、彼らが、"SYR 4"で2枚組の現代音楽のカバー集を出したとき、自然な行為として受け止める事ができました。リー・ラナウドのギターは最初から、プリぺアードピアノのように、打楽器的演奏や、掻きむしることで弾いてきたギターです。現代音楽からこれ見よがしに影響を受けたことを表明する為ではなく、ギターサウンドを深化させる為に創ったアルバムだと、言えます。でも、このアルバム何度聴いても、その最近のポップを自認する、日本のアーティストが背景がスケスケで見えてしまうのに対し、ニューヨークロックのなんと強靭なことよ。ニューヨークロックの特徴として、背景が容易には透けて見えてこない、強烈な存在感というのがあると思います。それは、ある意味刺激的な都市での、メンバーそれぞれの邂逅がもたらした結果だとも言えると思うのです。そんな都市が日本にもあったら、良いのですが、やっぱりあくまで中央なんだよな。
しかし、このジャケ 何故か、9.11テロを連想します。