だみ声は、ルーツミュージックを掘り下げる 最終回

 Gris-Gris

だみ声特集も、今日が最終回です。でも、さすがにネタが無い。なので、ピアノソロアルバムで、歌ものが少なかった、3回目で紹介したドクタージョンの別のアルバムを紹介します。本当は最初から、ドクター・ジョンの好きなアルバムとして紹介するつもりでしたが、あまりに、ディープなので、7月27日に聴こうという気になれなかったのです。
 さて、問題のアルバムですが。ドクター・ジョンのグリ・グリです。20才の頃買ったアルバムで、ドクター・ジョン初体験、ニューオリンズ的音楽初体験と、一緒に、食中毒になりかけたりして、忘れられません。「強烈な事はいっぺんにふりかかる。」という僕の法則があって、近年もといっても7年前ですが、28才でおたふく風邪になり治る途中で娘が生まれその後すぐに僕が喘息になる。という事があったりするので、イベント的に覚えているアルバムです。このアルバムを教えてくれた、ピーター・バラカンさんに感謝していますが、アルバムジャケットがヴードゥー教で、禍々しいので、ちょっと買うのを躊躇しました。
 このアルバムも、牛心隊長に負けないくらい、摩訶不思議サウンドとスローなリズムが渦巻いていて、覚醒するサイケなドラッグというより、強烈なお香や祭壇のミイラの手や、鶏の首なんかが出てきそうな、ヴードゥー教が主題になった異界のアンビエントミュージックです。30数分の短いアルバムですが、聴いているうちに、ミシシッピ河の底に溜まった汚辱を舐めながら海に向かって何かと一緒にそろりそろりと這う様な気分になり、アメリカン・ルーツ・ミュージックどころか、自分の前世や、死者と語りそうになります。ライナーノートには、こう書かれているそう、

カスとしてすくいあげられ、呪文により現代のチャートに呼び出された、プロフェサー・ロングヘアー8つの幻影

ニューオリンズR&Bの凋落をなんとか呼び戻そうとして、現代に甦った、ヴードゥー教の王ドクター・ジョン(19世紀に実在したらしい?)彼の試みはこのアルバムから始まるのです。