静かな夜に カサンドラ・ウィルソン

ニュー・ムーン・ドーター
 
 今日は、何となく平穏な気分で、静かに過ごせます。最近近くのカラオケスナックが、全くの無音なので、とても気分が良い。ついでに閉店してくれたら良いのに。
 会社の同僚が、女性ボーカルのCDを貸して欲しいというので、棚を探してチョイスした中の一枚を聴いてみるべと、平穏な気分だったので、カサンドラ・ウィルソンにしてみました。もはや、名盤の域に達していて、僕なんかが書くべき事も無いのですが、ブルーノートから出ているということだけが、ジャズとして認知されるようなアルバムで、何度聴いてもとても良質で素晴らしい、ポピュラーミュージックに思えます。まあ、ビリー・ホリデイの奇妙な果実をカバーしているので、ジャズの分類も仕方ありませんが。でも、それ以外に U2 モンキーズ サンハウス ニール・ヤング の、カバーをしています。それらがどれも素晴らしく、ボーカル演奏共に申し分ないと思います。これが、完成されたサウンドと、静溢なグルーブにあふれているのは、ジャズのミュージシャンをただ起用するだけでなく、ミュージシャンが全てのサウンドに責任のある一個のサウンドリエーターとして機能しているからだと思います。ギターのブランドン・ロスなんかは、まるで一人でシカゴ音響派みたいな役割を果たしていますし、徒に無用なインプロビゼーションを行う事無く、サウンドに徹しています。モンキーズの恋の終列車は、単純だけど、とても衝撃的なギターアレンジで、ボリュームペダルと、フェンダーのアンプだけで、こんなに多彩な音が作れるのかとびっくりします。僕が好きでスゴいなと思うジャズミュージシャンは、間と場のコンポジションがとても優れている人が多いのですが、このアルバムは全体がそんな感じで流れていて、カサンドラ・ウィルソンの歌が内蔵にしみ込むように僕等を静かに癒してくれるのです。