棚からひとつかみ ザ・ラウンジリザーズ

 今日の棚からひとつかみは、異端ジャズです。本当に異端かどうかは後世の人が決めるので、感想に徹してみると、ヨーロッパの香りがするECMジャズの表現で、ニューヨークの混沌とした、アバンギャルドを、定着させようと躍起になって、レコードを作ろうとしています。このアルバムに、ヤマンタカEYEと、少しだけヘビメタなドラムが加わると、方法論も音もまんまジョン・ゾーンのネイキッド・シティになります。完全な真似です。ビル・フリゼールのギターもネイキッドシティと本人の作品との乖離はここからくるのです。怪盤ノー・ニューヨークの後なので、アート・リンゼイのギタ−は世間に出ていましたが、ジャズのノー・ニューヨークたりえたこのアルバム、フュージョンからは決して生まれてこないこの世界が1981年に、成立していたことに戦慄しましょう。
 プロデューサーは、Teo Macero マイルスとの仕事の様にスゴくクールな音を僕等に聴かせてくれます。
 でも、ジョンルーリーのサックスのメロは、まるで伊丹十三の映画音楽のよう、マルサの女とか誰が作曲したのか、全く興味がないけど、似ている。
 でもこのアルバムをよくいわれる、フェイクジャズというカテゴリーの中に入れない。そういう評価で簡単に解釈しないで!

The Lounge Lizards