棚からひとつかみ だんだんと分裂気味 ジョン・フルシアンテ

 棚からひとつかみも、3日目ですが、段々と濃くなっていきそうで自分でも怖いくらいですが、一応順番に紹介しています。一応僕は、理系の大学に行ったみたいですが、完全なだめ学生だったので、全ての教科で優良をとったのは、一つしかありませんでした。その教科とは、「心理学」理系の大学だったので、教養学部の授業で来ていたのは、3流大学の講師でしたが、そんな教科を取ったって何の意味もありませんでしたが、心理学の病理と、大衆心理の授業を聴いていてかなりの思想的転向を余儀なくされました。その授業の余韻で、その後に、埴谷雄高の「死霊」と夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読み、授業に出ていた、カスパー・ハウザーの謎を熱心に読みました。それらの世界は、20才になりかけた若者にとっては、かなり強い印象で、頭の中を支配されそうになる程強烈なものでしたが、自分たちの見ている世界と、精神の病理といわれているまさにジャンル分けな精神病の世界は、それほど変わっているものでは無いと感じる事が出来ました。今、モーニングで連載している「ブラックジャックによろしく」は、精神病の連載ですが、「ドグラ・マグラ」の様に、世界に問いかけています。
 問いかけは、このアルバムでも、感じることが出来ます。異質な自己の発露(他人の発露)が恐ろしい人には、聴く事の出来ないアルバムです。自分でも、不思議ですが、このような、自己の発露を音楽にする人達にスゴく惹かれるのです。
 前作よりも、激しく独り宅録のアルバムですが、ギターで語りたい事が、粘着質な印象のボーカルで語られ、ボーカルで表現したい事が、ギターで唄われます。
 残念ながら、レッチリをまともに聴いた事がありませんが、リアルタイムで彼のこのようなアルバムを聴けて良かったと思います。音楽的には反対方向かもしれませんが、僕等が感じた様に、70sに、ニック・ドレイクを聴いた人は、感じたのでしょうか?

トゥ・レコード・オンリー・ウォーター・フォー・テン・デイズ