棚からひとつかみ ジョン・サイモンズ・アルバム

 今日の棚からひとつかみは、ジョン・サイモンです。本当は、セカンドアルバム「ジャーニー」の方が好きですが、棚からひとつかみですので。決して上手でも、味がある訳でもないこの高い不安定とも言える歌声。でも何度か聴いているうちに好きになって、何度も聴いてしまう不思議な歌声の持ち主なのです。泥臭さが希薄なのに、流れる音楽にはサザンソウルやブラックミュージックのエッセンスやソウルがたっぷりで、聴くものを魅了するのです。
 発表は1970年ですが、隠れた名盤として長く廃盤になっており、日本盤は、1977年になって発売されたそう。なるほどそれで佐野元春とかが、あの頃よく紹介したりしていたんだね。
 1980年代に音楽を聴き始めた僕等にはザ・バンドや、ジョン・サイモンの音楽が、何故その当時、革新的で新しい音楽に聞こえたのか、長く理解出来ませんでしたが、こうやって改めて聴くと、彼らは黒人音楽をまんま真似するのではなく、自分の周りにある音楽を取り入れながら、自然に湧きあがって来るアコースティックな感性を大事にしながら、ロックンロールや60年代を、批評する事が出来たから、革新的だったのでは無いでしょうか。
 さすが、エンジニア的プロデューサーで、ピアノの弾き語りの「レインソング」は、素晴らしい音です。すきだなこういう音。

ジョン・サイモンズ・アルバム