謎のガース・ハドソン

crayola2005-09-26


ザ・シー・トゥ・ザ・ノース

 うろ覚えなのでよく覚えていませんが、映画ラスト・ワルツに出てきたスタジオ録音の曲は曲も映像も不思議なものだったと記憶しています。そのなかで、僕の気を惹いたのは、ガース・ハドソンでした、確か吟遊詩人が持つ様なハープを持っていた様な記憶がありますが、その髭と顔の大きさが、「誰かに似ているぞ」とその映画をビデオでみながら思っていて気になって仕方が無かったのですが、だいぶ後になって、レーニンの「国家と革命」を読んでいる時とか、エンゲルスの「反デューリング論」を古本屋で見つけて本が汚いなと思っている時や、ニュースを見てシモーヌ・ヴェイユの「抑圧と自由」について考えてる時ではなく、ただトイレで事の後に水を流した瞬間、「あっ、ガース・ハドソンって、カール・マルクスに似ている」と気付きました。あのカール・マルクスの髭と禿げ上がった広い額、正面を見ていず少しだけ斜めを強い視線で見ている、あの、みんなが知っているおなじみの肖像画にそっくりです。(今となっては、おなじみかどうかかなり不安だけど)
 だから、何だという感じですが、ただ髭と額が似ているというだけの気もしないではないですが、マルクスが変人だったかどうかも知らない事ですが、このガース・ハドソンの初ソロアルバムはなんと1978年のザ・バンド解散から22年後に発表された奇跡のアルバムです。いままで、どこに隠れていたのと聴きたくなるような、素晴らしいアンサンブルにあふれた、佳作です。傑作としないのは、もしかしたら彼の音楽の多彩さや奥深さはもっとスゴいものでは無いかという期待をこめてです。
 ピアノ、アコーディオン、サックス、ユーフォニュームなどを自分で演奏し、かなりのマルチプレイヤーぶりで、なるほど、ザ・バンドに加わった時に大きく音やコンセプトが変わったと、いろんなところで書かれていた事が、頷けます。
 ザ・バンドに入る前はクラシック音楽をオルガンで弾くのが好きだったといわれているガース・ハドソンですが、このアルバムでは、落ち着いたジャズ的なアプローチに溢れています。ロバート・ワイアットに通じるものがあります。
 このアルバムでは、ジャズ的だったり、ニューエイジ風だったり、グレイトフル・デッドの「ダーク・スター」をアレンジ、リズム、拍子を少しずつ変えながらグルーブたっぷりに演奏します。この曲だけでもかなりなモノだと思いますが、1曲目をラジオで聴いたときの目が開かれる感じは今でも変わりません。
 最近、音楽について書いていませんでしたが、実はずっとこれを聴いていたからでした。