ちょっとだけファンク特集 良質でカッコイイ、ブラックミュージック オーネット・コールマン

 一番最初に好きになったジャズ・アーティストがオーネット・コールマンだった事は僕にとってはとても幸福な事でした。16年前、19才の若造だった頃の春に、何を買おうか迷っていた時に、オルガン坂を下ったところに有った頃の渋谷のタワーレコードで、ジャケットに惹かれて買いました。それに、ピーター・バラカンの本で、このCDのことを知っていて、矢野顕子が、タワーレコード用に、宣伝文句を書いていて、「最高のブラックミュージック」とかなんとか書いてあったので、ちょっと、ジャズでも買ってみるかと、この人がどんなに偉大で、ブラックミュージックの可能性を広げた人かどうか、全く知らずに買いました。
 最初に1曲目を聴いた時、なんかマルタのフュージョンみたいだな、と思ったのですが、2曲目で、ぶっ飛び、「なんだこのリズムは」ギターやベース、ドラムがそれぞれ勝手に演奏しているように聴こえる演奏をしているのに、不思議に調和がとれていて、アフリカ音楽のようにポリリズムの複合が、今迄全く聴いた事のないグルーブを作り出していて、その上に、鳥のように自由なアルトサックスが、ブルースや、ロックのリフにも似た旋律でテーマを吹きます。その時は、フリージャズかどうかや、結構批判の多い、このバンドプライムタイムの、演奏がどうだとか、全く考えず、めちゃくちゃカッコイイブラックミュージックとして聴けました。1日2回くらい必ず聴いて、2ヶ月くらいハマりまくっていましたから、本当にCDジャケもボロボロ。
 でも、今でも幸福だと思うのが、オーネットのおかげで、ジャズをとりあえず、ブラックミュージックとして聴くような姿勢が出来た気がします。なので、実は僕のジャズの聴き方は簡単で、迷いがありません。ブラックミュージックとして聴けるか否かを基準に考えているので、はっきり言って、音楽理論や、ムーブメント、バップやモードや、クインテットやカルテットだろうが、ピアノトリオだろうが、全く関係なくブラックミュージックとして聴けるか?と言う事一点で聴いたので、マイルスだろうが、コルトレーンだろうが、ミンガスだろうが、モンクだろうが、まったく一緒でした。逆にビル・エバンスアート・ペッパーなどには、全く入り込むことが出来ませんでした。なんか、ブラックミュージックではなくクラシックを聴いている気がするのです。それは白人だからじゃないのかと言われそうですがそうでも無くて、それらは何故かハーモニーとか音とかが問題であって、リズムとグルーブは二の次のような気がするのです。それでは、ブラックミュージックとして発生したジャズという音楽とどこかずれている気がするのです。スイングは簡単に言うとのりやすく、わかり易いグルーブなのでやはりスイングしなければ意味の無い音楽としてのジャズという音楽はブラックミュージックとして聴くのが一番良いと思います。
 ふー、ジャズについて書くのは難しいな。じゃ白人や日本人はジャズを演奏する資格が無いのか?とは言えないので、それについてはまた。
 オーネット・コールマンを教えてくれた、矢野顕子さん、ピーター・バラカンさん有り難う。ほんまに感謝。

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