モータウン 1 YESTERDAY

 最初に、ブラックミュージックにハマったのは、高校生の頃オーティス・レディングなどのスタックスからでした。NHKFMピーター・バラカンさんの番組を録音しては何度も聴いたのを、覚えています。

 そんな頃、今は僕の神様である、マービン・ゲイは何故か第一印象では、良くありませんでした。ストレートなスタックスの方が好きでした。多分、わからない大人の世界な感じがしたのでしょう。
 なので、モータウンが好きになったのは、大人になりかけた19才になってからでした。 
 ハマると、かなりの麻薬性が強く、CDでしたがレコードならきっと擦切れるただろうと思える程マービン・ゲイを聴きました。
 マービン・ゲイの音楽はしなやかでけれど強くそして美しいボーカルは永遠のようにも思えます。
ビートルズと絡めてみようと思って、このアルバムを選びました。最初はスクランブルエッグという名前がついていたというYESTERDAYも収録された、カバーが多数入ったアルバムで、そんなに有名ではないのですが、YESTERDAYをマービンの歌い回しできれいに歌っていて、白人が作った音楽の有名曲のカバーは結構難しいような気もしますが、唄を丁寧に歌う事で、成功しているようにも思えます。ヤング・ラスカルズのグルーヴィンも入っています。これは、アレサのバージョンも有名。

 60sモータウンの好きな所は、キラキラした印象を感じる様なギターや、タンバリンやハイハットを多用したドラム。ベリーゴディーをはじめとした首脳陣は、サウンドやコンセプトは世界戦略を狙っていても、必ず黒人層でも買えるように、シングルで発売。そして、そんなに良いステレオでなくても聴ける様に、つまり重低音が出ないセットでも、聴ける様に必ず作ったと言います。今は、ベースやドラムなんかをきちんと聴く事ができますが、いろんな事を考える音楽を仕掛けることがすなわちポップになるという、見本を示してみたのではないかと思います。なかず飛ばずのダイアナ・ロスシュープリームスは、「愛はどこへ行ったの」を歌うとき、こんなへなへなした唄を歌うなんてととてもショックを受けたとあとで語っています。それも戦略。
 このレーベルはそういう部分も色々と楽しめます。ただ、後でスティービーやマービン・ゲイの成長を疎外したのも確か。この頃は多分70sへ向かう自立的なソウルへの模索を感じ始めた過渡期、マービンはどんな事を考えながらレコードを作っていたのでしょう。

 

That's the Way Love Is

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