シド・バレットの訃報に驚く

 今週は水曜から金曜まで鹿児島へ研修旅行でした。遠かった。
 それは、また後に書くとして。


 shiroppさんのブログから、シド・バレットの訃報を知りました。30年以上の隠遁生活で最近の動向は、イケメンだった頃の見るかげもなく太っているとか、病気は全く治っていないとか、暗いものだけでしたが、生きているという事だけで、僕たちは神格化していた人でした。
 僕たちと書いたのには理由があるのです。




 昔、松山に松山キネマ倶楽部という自主上映サークルがありました。(今もありますが)そのサークルに10数年前、一時期在籍したことがあります。そのサークルが、僕が愛媛に帰り就職した最初の年、ドイツ映画祭という特集を組んで、自主上映していました。

 ヴェンダースの初期の映画や、素晴らしく美しい映像で作られた謎のカスパーハウザーなんか上映していたので、面白そうと思ってまだ知り合いもいませんでしたので独りで見に行ったのです。
 そこで、映画の幕間のBGMになんとシド・バレットがかかっていました。「マニアックな選曲するんだな」と思い、「ここ面白いかも」と即入会し、代表の人と話しているうちにボランティアでお手伝いをする事になりました。


 土曜・日曜の上映でしたので、仕事が休みの日や、仕事が終わってから、手伝いしていたのですが、シド・バレットをBGMに選んだのは、そこにいた10才くらい年上の代表の人やメンバーの人の選曲ではなく、サークルからはしばらく休止しているKさんという人の選曲だと知りました、僕よりは二年程前からサークルに在籍していたそうです、チラシのデザインをしたり、本当の映画館で働いていた事があったり、どんな人だろうと思っていたのですが、1ヶ月後くらい後、映写機を手伝ってもらいながらもやっと廻せるようになった頃、そのKさんに会う事が出来ました。



 びっくりです。僕を除いてインテリの集まっていたそのサークルに全く合わないその格好
 スゴいインパクトです。Kさんの出で立ちはこう。
 黒の皮ジャン、黒いジーンズ、ドクターマーティンズの皮のゴツいブーツ、そして手には鋲の入ったブレスレット完全にパンクファッションです。明らかに、ピストルズや、UKパンクを意識しています。

「なんだこの人」と思ったのですが、お互いシド・バレットを知っています。その話をしました。その人も、他の人から僕の事を聴いていました。シド・バレットやその他のロックの事も話しました。話してみると、怖い感じでもなく、尖っているんでもなく、普通なんだなと思って安心しました。それに何より、小柄だけどちょっとカワイイ僕より一つ下の女の子でした。

もう、ばらしたほうがよさそうですね。Kさんとは、なにを隠そう。
後に僕の奥さんになった人その人のことなんです。



 つまり、シド・バレットは、本人は全く意識もしてないし迷惑でしょうが、縁結びの神様みたいなものです。彼がいなければ、うちの二人の子供達も生まれなかったかもしれません。
 そんな、シド・バレットですが、僕も妻も、フロイドファンには失礼かもしれないけれど彼のソロのファーストが大好きです。
何度も聴きました。

訃報を知って今日久しぶりに妻と聴いています。

サイケだけど、何故か癒される、元祖Lo-Fi&ヒーリングミュージックです。彼の声は先入観を持たなければとても素直で、聴いていると無駄な感情の起伏が起こらず平易な気持ちになれるのです。だからと言って価値のない音楽ではなく、独特な世界観に引き込まれてしまいます。
 下の子供も最初は「変だ」と言っていましたが、三枚聴いたら今日一日で好きになりました。

僕たちの、神様。シド・バレットさん、安らかに。
僕たちは、あなたのことずっと忘れません。

帽子が笑う・・・不気味に