これをジャズって言うんだ。ジョニ・ミッチェル

このアルバムは、ゴンチチの世界の快適音楽セレクションで、サークル・ゲームがかかっていたので思い出したアルバムです。買った時よりも、この涼しさを感じながら、秋の虫達が鳴く、秋の夜長に聴く今の方が、心にすっと入ります。


 拙ブログ読んで頂いていればわかると思いますが、殆どジャズシンガーと呼ばれる人達の音楽を聴きません。特に理由というものは無いのですが、聴きたい音楽ではないという気がするという感じをいつも抱きます。モーズ・アリソンのように、例外的な人もいるにはいますが、積極的に聴こうと思った事はありません。

 だけど、このアルバムを聴いていると、ジョニ・ミッチェルのジャズシンガーとしての説得力と、曲の美しさにうっとりしてしまいます。こんな、シンガーがジャズ界に多ければもっと聴くのでしょうが、思いつくのはカサンドラ・ウィルソンくらいかな。そう言えば彼女達の歌声には共通点が多いと思います。低めの音域。ジャズでありながらフォーク(ブルース)である基本的な姿勢。マイノリティである自覚。共通点が多いです。カサンドラもジョニに影響を多分沢山受けたのでしょう。


彼女は、ポップシンガーとしてのジョニ・ミッチェルだけではなくて、根底は実は一貫してジャズシンガーとしての自分があったのかも知れません。

ミュージシャンとの邂逅や、恋がジョニの音楽を形成していったと良く言われますが、過去の名曲が、こうやって焼き直されるのを聴いていると、ジョニの音楽は最初からジャズを意識して作られたかのようです。

全てのジャズファンに言いたいです。「聴きなさい。そして、自分たちが失ったものを思い出しなさい。」と。ちょっと、偉そうだけど、本気で思います。こんな、充実感のある2枚組は奇跡的ですらあるのです。オーケストレーションの美しさも素晴らしいので、ついでにクラシックファンも聴け。

Travelogue (Dlx)