オルガナイザー ジェームス・ブラウン
本当にまさかのニュースでした。
久しぶりに書いたブログがこんな記事になるなんて。
半年くらい前に、死にそうにない有名人という話題を、友人達とメールしていて、
ミックジャガーかななんて意見があって、僕が「ミックは意外とインテリなんでそんなことない」という応酬していたら、やっぱりJBが死にそうにないかななんてコメントしてましたが、実際にこのニュースを聞いて「やっぱり彼も人間だったのか」なんて思ってしまいました。
派手な夫婦喧嘩や、牢獄での生活やその時の逸話や、ゴッドファーザー的なイメージで、そちらの方が有名だったりして、一時期は、北島三郎と同一人物なのではないかという説が流れたり、いろんなイメージのある人ですが、音楽家としては、素晴らしいボーカリストでありながら、オルガナイザーとしてファンクを牽引していった実績があり、新聞ではソウルの帝王と書かれていましたが、ソウルミュージックだけではなく、彼以後のR&Bは彼がいなくては成立しないようなものになっていったのは周知の事実です。
ヒッポホップはJBなくしては生まれなかったと思います。
それと、僕たち黄色人種にはわからないことなのかもしれませんが、彼の存在が多くのマイノリティの人達に勇気とリアリティあるメッセージを与えつづけていました。セックス・マシーンのゲロッパですっかりお茶の間に浸透している人の良さそうなおじさんとしてCMに出ていましたが、公民権運動のさなかには Say It Loud-I'm Black And I'm Pround と 「俺たちはブラックだ、そしてスゴいんだ」(意訳)と煽り、ウォーターゲート事件の時は、Open Up The Door I'll Get Myself と 「自分で自分の取りたいもの取れよ!」(意訳)と確信的に叫んでいました。きっと白人種の人達は彼に恐怖を覚えたでしょう。
JBが第三世界の大佐か将軍ならきっとクーデターで政権を盗っていたでしょう。実際、彼以上のファンクのオルガナイザーはいませんでした。そしてこれからも出ないでしょう。
Cold Sweat なんか聴くと良くわかるのですが、彼のかけ声が指揮者のような役割を果たしていてバンドの演奏が統制されていて、メンバーの抑制された演奏が、緊張感として場に充満していて、目に見えないグルーブが粒子のようにその場に凝固しているような感じになり、JB独特のファンクが作られていきます。
ファミリーのボスというイメージを持たれているみたいですが、実際のJBのバンドのミュージシャンは、オーディションで選び、メンバー変更も多くその上仕事をきちんとする為にメンバーに厳しい練習を課していました。
ですが、というか、だからなのか、メイシオ・パーカー フレッド・ウェズリー ブーツィー・コリンズ ジョン・ジャボ・スタークス クライド・スタボロフィールド その他、数多くのスタープレイヤーがJBのバンドから生まれました。
今日はボックスを聴いています。
冥福を祈ります。
でも、いればの話ですが、バロック調の天国の神様は今頃天国の門にいるJBを見て
「なんかうるさそうな奴が来たな」と煙たがっているかも知れません。
あっちの世界まで変えてしまいそうなのが怖い。
また一つジェームス・ブラウンの伝説ができるかもしれません。